犬ヶ島とコマ撮りアニメーションと表現の変容と

コマ撮りアニメの魅力

 

コマ撮りアニメーションと聞くと、
例えばNHKのニャッキやロボット パルタなどが思い浮かぶ人は少なくないと思います。

プチプチ・アニメ https://www.nhk.or.jp/anime/petit/

 
 

こうした立体アニメーションの魅力としてやはり、実物の物がまるで生きているかのように動き出すことにあると思います。

CGのような無機質さとはまさに対局であり、有機的な素材感や素朴な動きが見ている側に何とも言えない懐かしさや親近感を与えてくれるのではないでしょうか。

 
 

実物だからこその存在感

 
 

アニメーションはその特性として、どうしても平面世界で展開していかなくてはなりません。

しかし、立体物を使ったコマ撮りアニメにはその制限がなく、虚構の中に確かなリアリティが存在しています。

 
 

 
 

こちらの作品はロサンゼルスのアニメーション会社Lift Animationが制作したコマ撮りアニメです。

 

人形の不揃いな手足は何とも不気味です。
平面上で動くアニメで、このデザインを採用したのなら、それはただの気持ち悪いものにしか見えないでしょう。

 

しかし、こういった特異な人形のデザインもコマ撮りアニメの世界では、どこか魅力的なものに見えてきます。
それは確固とした造形物としての魅力がその人形に宿っているからに他なりません。

 
 

デジタル主流の流れ

 
 

アニメーションにおいて今、最も力のある会社は間違いなくピクサーでしょう。

彼らの作り出す精巧なCGは立体アニメのみの特性だった立体感を有したまさにアニメーションの完成形と言えると思います。

 
 

こちらはコープスブライドやナイトメア・ビフォア・クリスマスなどの人形アニメを作り上げたアメリカのアニメーション会社LAIKAの映画KUBO/二本の弦の秘密です。

 

 
 

一見してCGアニメに見えますよね?
実はこれ、れっきとしたコマ撮りアニメーションなのです。
人形の繋ぎ目など、ありとあらゆるアナログ的要素を排除して作られた本作。
もはやコマ撮りアニメーションと呼んで良いのかすら、僕にはわかりません。

 
 

あえて不完全さを残す意味

 
 

アナログ的なつなぎ目や動きのもたつきなどを残すのと稚拙さは違います。

人形の繋ぎ目や特異な形状は不完全さを生み出します。それが受け手にとって違和感であり、同時に親近感を与えます。
クリエイティブ業界が徐々にデジタル化していく流れの中にあります。

こういったアナログ感をあえてだしていこうというクリエイターは少なくないです。
なぜなら、明らかにそちらの方が生産性が高いからです。

修正も対応しやすく、時間もコストも削減できます。
しかし、デジタル上で完結してしまうものはどうしても画一的になりやすい傾向にあるのもまた事実です。

仕事におけるクリエイティブにおいて画一的というのは正しい場合が多いです。
ですが本当の意味でのクリエイティブには独自性というものが必要になってくるのではないでしょうか。

 
 

犬ヶ島とこれからのコマ撮りアニメ

 
 

 

犬ヶ島は2018年に公開されたコマ撮りアニメ映画です。

先ほど、紹介したKUBOとほどではないにせよ、こちらもまるでCGと見間違うような出来になっています。
しかし、KUBOとの違いは明らかに意図して残されたアナログの素材感にあります。

見た目からもわかるこのテクスチャが作品全体を覆うことで、犬ヶ島は従来のコマ撮りアニメにあった強みを最大限に視聴者に与えてくれます。

不完全さがあるからこそ人は心を惹かれる。
あえて残す不完全さこそが、新しい時代のクリエイティブの課題ではないかと思います。

その課題に対する一つの答えとして世界に登場したのが犬ヶ島なのではないでしょうか。

 

 

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