タイポグラフィーの巨匠ヤン・チヒョルトとニュータイポグラフィー

東京オリンピックまで一年をきりましたね。
ちなみに僕はチケット全オチしました。
諦めてテレビで見ます笑

 


オリンピックと言えばデザイン業界においてトラウマと呼べる問題がありました。
アートディレクター 佐野研二郎氏のオリンピックエンブレム盗作疑惑です。
彼の案がリエージュのエンブレムに酷似するということから、
彼の昔の仕事の不手際にまで波が広がり、最終的にエンブレム撤回となる散々な顛末でした。

 

佐野研二郎LOGOイメージ
引用 https://www.bbc.com/japanese/36129126

 


これがあまりにも世に騒がれ、佐野氏はこのエンブレムの原案を世に公開しました。
決してパクリではなく、試行錯誤の結果そうなったと証明するためだったのでしょう。

 

実際、ものすごい展開性の高さでこれはまさに一流デザイナー佐野研二郎と言ったところだと思いました。

 

佐野研二郎デザイン例

 

引用 https://www.advertimes.com/20150805/article199908/

 

 

デザインの現場ではよくある話で、世に公開されたものはだいたい、クライアントからお戻しがあって修正されます。
ですが、その原型も白井敬尚氏の事務所で作られた
gggで開催されたヤンヒチョルト展のポスターに酷似していたということで、さらに炎上をしてしまいました。


ヤンチヒョルト展示フライヤー

引用 http://till2017.blogspot.com/2013/11/pickout642.html

 

 

こうしたあまり好ましくない話題で有名になってしまったのがヤン・チヒョルトですが、そもそも彼はどう言う人物だったのでしょうか?
今回はそんなヤン・チヒョルトについてお話しようと思います。

 

 

 

 

 

タイポグラフィーの巨匠 ヤン・チヒョルト



ヤン・チヒョルトは今で言うフォントデザイナーと呼ばれる職人でした。
父親が同じようにレタリング職人で幼い頃から文字に触れてきたチヒョルトはやがて、
印刷や製本、カリグラフィーを学び、ドイツで教鞭をとるようになりました。

 

そんな彼に影響を与えたのがロシアで始まった構成主義「ロシアアヴァンギャルド」でした。

 

ロシア・アヴァンギャルド例1

 

ロシア・アヴァンギャルド例2

 

引用 https://nostos.jp/archives/102611

 

簡単に説明すると
抽象的な形や文字で画面を構成していき、その手法はあらゆる人々に情報を伝えていきます。
識字率の低い当時のロシアだったからこそ、求められ、発展していたデザイン様式と呼べるでしょう。
そこに感動したチヒョルトはある考えを提唱しました。
それが 「ニュータイポグラフィ」 でした。

 

 

 

ニュータイポグラフィー

 
写植イメージ
 
 

「ニュータイポグラフィー」は一枚の印刷物から、雑誌、書籍にいたるまで、

すべての印刷物に対応するタイポグラフィーの原則を定めようとするものでした。

この考えは当時のドイツを中心に世界中に広まっていくことになります。
ニュータイポグラフィーの原理はいくつか上げられます。

 

 

  • ニュータイポグラフィーの本質は明快であること。
  • 中軸構成の原則の破棄。
  • 伝達の目的を強調し、論理的に活字の大きさやウエイト、色、写真などを要いて明快な表現にすること。
  • アシンメトリーにし、機能的でありながらリズム感を生み出す。
  • 色彩は装飾的に要いるのではなく機能的に要いる。
  • 背景、写真などは文字などと同じ価値の構成要素と考える。
  • 書体はサンセリフを基本とし、グロテスク、カーベル、フーツラ、ローマン、エジプシャンと言った書体を使う

 

 

こうしたニュータイポグラフィーの考えは欧米など多方面のデザイナーに大きな影響を与えていきました。
この原理は今でもデザインの現場でかなり根強く生き続けており、ある意味で基礎的な部分になるのではないでしょうか。
日本でも巨匠デザイナー 原弘氏はその影響を強く受けたと語っています。

 

 

 

 

 

 

サボンSABON

 

 

 

彼を語る上で、欠かせないのがサボン(SABON)という書体です。


やわらかい雰囲気のあるこの書体はヤン・チヒョルトの偉業の一つと言えるでしょう。 


作られたのは1960年代。
凸版印刷からオフセット印刷、そして金属活字から写真活字へと移行していく時代でした。
機械による自動化は革新的な発明でした。
しかし、機械組みは職人による優れた手組み植字法には到底及ばない出来だったのです。


こうした背景もあり、手作業こそが至高となり、機械組みには高い水準のものを求められることはありませんでした。

 

正しく組まれた語は、すべてのタイポグラフィの出発点です。
機械組みに対して、危機感を覚えたヤン・チヒョルトは
ニュータイポグラフィーの考えにのっとり、手組み、機械組み、どちらでも同一の品質を維持でき、写植にも適応するローマン体を設計しました。
それがサボン(SABON)です。

 

彼がサボンを作る上で参考にしたものはギャラモンと言う書体です。

 

 

 

このギャラモンの開発に大きく関わったヤコブ・サボンの名前からSABONは命名されました。
そして、SABONは20世紀を代表するローマン体として大きな評価を得ることとなりました。
SABONと言う書体はまさに組みやすく読みやすいのが特徴です。

 

最後に

 


良い文字のデザインはデザインしたことに目がつかず、読みやすいものです。
ヤン・チヒョルトのニュータイポグラフィーの根底はまさしくそこにあります。
当たり前に思うかもしれないその思想こそ、ヤン・チヒョルトが現代に残した偉大な功績なのだと思います。

 

 

 

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