デザインにおいて意図のないものはありません。
ちょっとしたあしらい、色、レイアウト、そして写真もです。
食品系のデザインにおいて商品写真はシズルと呼ばれることがあります。
このシズルとは端的に説明すると、「商品そのもののセールスポイントを一目で分かるようしたイメージ」です。
こと食品系のデザインにおいてシズルの良し悪しはそのまま、デザインの良し悪しを決定すると言っても過言ではありません。
どれだけレイアウトが整い、あしらいが上手く効いていたとしてもシズル一つで全てが決まってしまうのです。
そこで、今回は食品系のデザインにおけるシズルの重要性について、解説させていただこうと思います。
今後、食品系のデザインを制作される機会があったらぜひ、参考にしてみてください。
食品系の広告物はシズルで決まる。
まず前提として、食品系の広告物やデザインにおいて、シズルは非常に重要な役割を担います。
食品は実際に人が口にするものです。
その導入であるシズルが魅力的でなければ、人はその商品に関心を持ちませんし、食べたいという欲求を促すことはできません。
食品系において、何よりもシズルがデザインの優劣を決めると言っても過言ではありません。
そういう意味で、食品系のデザインにおいて大切なことはシズルへの意識と言えます。
シズルの見せ方を分析する
#1日1デザイン、チャレンジ20日目。
架空のドリンクメニューのインスタ用画像を作成しました!ちょっと台湾感を出してみた…つもり…。【ターゲット】コーヒーよりお茶の方が好きな20代~30代の女性
【目的】新メニューのお知らせをして来店に繋げる pic.twitter.com/ybLbHT5MlL— まいきー@WEBデザイナー研修中 (@Mikey87826191) October 21, 2020
引き合いに出すのは失礼かと思いますが、
こちらはTwitterで相互フォローしているまいきーさん(@Mikey87826191)の制作物です。
台湾風のデザインを意識されているのは一目でも伝わってきてます。
しかし、ここで問題となってくるのはやはりシズルの表現です。
客観視した時に、このシズルが本当にほうじ茶ミルクティーを魅力的に見せれているか。
デザイナーがまず考えなくてはいけないのは、ミルクティーのどこに美味しそうな部分を見出すかが必要となってきます。
試しに分析をしてみましょう。
こちらの写真では、ほぼ水平にアングルが設定されています。
このアングルなら確かにミルクの層と液体の層がはっきりと見えています。
少なくとも、説明としては成り立っているかもしれません。
しかし、言ってしまえばそれだけです。
これでは説明的に商品が置かれているだけで商品の魅力を訴求しているとは残念ながら言い難いでしょう。
何が魅力なのかを一目で分からせることで、シズルは機能します。
こう言ったミルクティーはどこに美味しさを感じるか考えてみることが大切です。
例えば、ミルクとティーが混ざり合う瞬間なんて、美味しそうですよね。
引用 https://thebest-1.com/a3085/
他にも、ミルクの層がふんわりとしています。
ここも美味しそうに見えるポイントと言えるでしょう。
先ほどのまいきーさんのデザインで使われているマグの形状も考慮すべきポイントがあるでしょう。
あのマグの形状は妙に寸胴で、あまり可愛げのある形とは言い難いところがあります。
意外にもこういった器やマグといった食器一つでも見え方は格段に変わってきます。
知り合いのスタイリストからKINTO紹介されて、
食器とか揃え始めてるけど、
ほんと食器ほどお洒落にすると日常が変わる
食事を楽しむって感覚が増すし、デザイン性の高いものに触れると仕事でも生きる
僕は食品関係のデザインが多いから、写真の方向性考えたりする時なんかはよりそれを実感する pic.twitter.com/z79Pz2owgQ— さわたり (@orphan78575131) October 10, 2020
このようにシズルだけでも考慮すべき点がたくさんあることがこれで分かっていただけたと思います。
この際、僕はリプライでまいきーさんのデザインをより良くできる参考事例として、スターバックスの広告物を引用させていただきました。
これみたいにマグの形状を可愛くして、アングルを斜め上からにするとさらに良くなる気がしました
クリームの美味しそうなとこがより際だって魅力的に仕上がるかと思います
(なんかすみません pic.twitter.com/r8mAR2Zi5g— さわたり (@orphan78575131) October 21, 2020
こちらはかなり、目指したい方向性とマッチしていたため、引用しました。
こちらのデザインの良さはなんといってもシズルの見せ方です。
ラテのしっかりと見せたいところはフワフワのクリームというのが分かりやすく、また液面も微妙に混ざり合う描写がより質を高めています。
細かくみると、商品の設置面の影や、商品そのもののコントラストも上手く調整されています。
その上で、他の要素は限りなくシンプルで最低限にあしらわれています。それでもほうじ茶感がしっかり表現されています。
そうすることで、余計なものに目を奪われずに、商品に集中することができます。
この資料をお送りした後日、マイキーさんが修正されたのがこちらです。
さらにクリームの美味しさをアピールする、丸みのあるマグ×斜めアングルのカップバージョン。同じグラスの写真が見つけられなかったので、差し替えました。
さわたりさん(@orphan78575131)、アドバイスありがとうございました! pic.twitter.com/C1bPZGn9De
— まいきー@WEBデザイナー研修中 (@Mikey87826191) November 6, 2020
写真自体はやはり、良い写真とは必ずしも言い難いですが、格段に良くなっているのは確かです。
なぜなら、訴求したいポイントがはっきりと見て取れるからです。
ここで見せたいのはクリームのフワフワ部分というのが意図的に構図から表れています。
シズルの表現とはつまり、こういった魅力を明確に伝える意図が構図から伝わってくることこそ大切なのです。
デザインは基本的になんとなくでは行いません。
写真一つにしても意図を持って作り込んでいくのが大切です。
シズル表現の好例
スタバがここまで分かりやすいシズル表現するのは珍しい
サイレンの切り方も新しい pic.twitter.com/bCUM6UlfBL— さわたり (@orphan78575131) September 12, 2020
こちらは先月頃に販売されていたスターバックスの新作フラペチーノの広告ポスターです。
これは本当に意図が分かりやすく、魅力的なシズル表現をされています。
一目で、このフラペチーノにはたくさんの栗やチョコレートが詰まっているよとシンプルに訴求しています。
もうこれは誰が見ても明らかなくらい明快な表現です。
その上で、フラペチーノの中の美味しそうな液面、所々についている水滴など、シズルとして実に機能したデザインです。
ここまで明快な表現をしてしまえば、細かなあしらいなどかえって不要になります。
だからこそ、最低限の商品名だけをシンプルにあしらい、背景色もシンプルで成り立っています。
ですが、全く寂しさを感じさせず、美味しそうなビジュアルが目に飛び込んでくるわけです。
これは本当に良いデザインだと思います。
まとめ
今回はデザインや広告においてのシズルの重要性について解説しました。
まとめると
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シズル表現は端的に説明すると、「商品そのもののセールスポイントを一目で分かるようしたイメージ」です。
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商品の良さを見せるのがシズル。何がその商品の魅力なのかをしっかり分析するのが大切です。
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写真の構図から、言葉にせずとも意図(魅力)が伝わってくるのが理想です。デザイナーはそれをしっかりと設計する仕事です。
ぜひ、食品系の広告やデザインを制作する際に今回の内容を意識してみてください。
ジュワ~ この擬音語から何を思い浮かべるでしょう。なんだかとても美味しそうな響きに聞こえませんか?このような美味しそうな響きを視覚的に表現したものを広告業界ではシズルと言います。 シズルは広告、特に食品系[…]