新人デザイナーの仕事には資料探しやカンプ制作の他にもアイデア出しというものがあります。
これは文字通り、デザインのアイデアを考える作業です。
ある意味、デザイナーとして成長できるかはこのアイデア出しをどれだけ真摯に取り組んできたかによるでしょう。
この作業が最も楽しく、そして最もしんどい作業です。
というわけで、新人デザイナーの仕事の解説の続きで、今回はアイデア出しについてお話ししようと思います。
前回の記事もあわせてぜひご一読ください。
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アイデア出しはデザイナーに関わらず、様々な職種でも向き合う事になる仕事と言えるでしょう。
ぜひ、この記事を参考にしてみてください!
新人デザイナーの仕事 アイデア出し
アイデア出しは文字通り、デザインのアイデアを考える作業です。
実際の現場ではデザイナーのアイデアからディレクターが選別したり、助言をして方向性をつくっていくことになります。
アイデア出しにおいて一番大切なことは依頼されている内容に対して、解決策となるアイデアであるかという点です。
目的のないデザインはありません。
例えば、新店舗のオープン記念の広告デザインを作るとしたら、達成しなければいけないポイントは新店舗のオープンの告知となっているという点です。
そのポイントを外して、ただ綺麗なだけのビジュアルをつくっても、意味がありません。
オープン告知である事を出発点にどういう見せ方ができるかを考えるのがアイデア出しの本質となります。
それでは、ここから具体的にアイデア出しの大まかな流れを解説していきます。
アイデア出しの前に、必要な情報をデザイン思考で整理しましょう。
先ほどにも述べたように、デザイナーはただ、おしゃれなビジュアルを考えればいいという話ではありません。
例えば、チョコレートの商品パッケージのお仕事があり、以下のようなオーダーがあったとしましょう。
なるべく、老若男女に買ってもらえるようなデザインで、一目でチョコレートのパッケージだとわかるようにして欲しい。
この情報から必要な情報をピックアップしていきます。
- 新発売の商品である。
- 期間限定ではなく、常時店頭に並ぶ。
- 老若男女に買ってもらいたい。
- 一目でチョコレート商品だと分かる。
達成ポイントはこの4つになります。
ここからアイデアをだすための思考が必要になってきます。
新発売の商品である。
新発売の商品であるならば、競業の意味もあって既存の商品とある程度、差別化していきたい。そのためにはまず、他社の商品をリサーチする必要がある。
シンプルだけど分かりやすい表現をリサーチする必要がある。
シズル写真の切り口とカラーリングのパターンをリサーチする必要がある。
このようにまずは、達成しなければいけないポイントとそれらを解決する方法と具体的なビジュアルイメージをリサーチしていきます。
このような思考をデザイン思考とも呼びます。
問題の提起と解決策の模索がデザイン的な思考の第一歩です。
そこから具体的なラフを描いたり、これらの条件を満たしているような商品の資料を探していきます。
ビジュアルの良さというのが肉だとしたら、このデザイン思考はいわば骨にあたります。
どれだけ筋肉がついていようが骨がしっかりしていなければ、体は成り立ちませんよね?
そういう意味でもアイデアだしにおいてまず考えるのはこの骨格の部分になります。
そこが備わってから初めて、デザイン作業はスタートを切ることができます。
最初からパソコンに向かってデザインができる人はいいけど、私みたいにまずは机に向かって考えてから…というデザイナーも少なくないはず。相手に伝わりやすくするために1〜2色にまとめることで、仕上がりはグッと良くなります。自分が見返したときにも見やすくなるので、まずは机に向かうことが大切。 pic.twitter.com/8zCrHA4k6X
— 上司ニシグチ (@jyoshi_n) October 10, 2020
デザイン思考を身に着ける上で役立つ書籍を紹介した記事です。
良ければこちらも一読ください。
Name 「デザイナーになりたいけど……不安」 「そもそも何でデザインなんだろう……」 そんな風に考える気持ちはよく分かります。 悩まずに手を動かすというのが、そう言ったモヤモヤを晴らす解決策ではあり[…]
骨子ができたら具体的なビジュアルを考える
骨格がつくれたなら次はビジュアルです。
身も蓋もない話をすると、どれだけ骨格がしっかりとしてようと、ビジュアルが悪いとその時点で切られてしまいます。
人はほとんどの情報を視覚で読みとります。
きれいだな。おいそうだな。買ってみたいな。
こういった意識のプロセスをつくる起因になるのはやはりビジュアルなのです。
見た目とは残酷なまでに人への意識に作用してしまいます。
ビジュアルの主軸を考える。
ビジュアル表現のメインとなる表現は大まかに分けると
- 1文字を使ったビジュアル
- 2シズル写真を使ったビジュアル
- 3イラストを使ったビジュアル
このどれかをメインに据え、他の要素をサブ的に使うというのが基本ベースとなります。
例えば、印象的なシズル写真を使い、文字と色をおさえとして使っていくビジュアル。
といった具合です。
引用 http://jp.eastday.com/node2/home/xw/jj/u1ai102854.html
具体的な構想を考える。
そういった簡単なコンセプトが決まったら次は文字の形や写真、色の想定です。
文字だったらどういう書体で作字するのかなど、参考にするデザインのムードを手書きや資料でイメージさせておく必要があります。
同じように写真ならどういう撮り方をするのか、コントラストは強く出すのか。アングルはどうする。
そういった想定をきっちりと考えていき、資料を集めていく流れになります。
アイデアを出すためにできること
このように、新人といえどアイデア出しはやることになります。
最初のうちは表現の幅があまりなくアイデアを想像しづらいこともあるかもしれません。
解決策としてはやはり、たくさんの表現を見ていくしかありません。
空き時間を使ってピンタレスト などで情報を集めつつ、写真表現や文字、イラストなどをストックさせていくのが今からでも始められる解決策だと思います。
ピンタレスト https://www.pinterest.jp/
注意したいのはネットは素人がつくった完成度の低いデザイン も溢れているので検索の邪魔をしてくるケースが多々あります。
自分で、良し悪しの判断がつけられるのであるなら問題ないかもしれませんが、場合によっては書籍などを参考にするのもいいかもしれません。
ADC年鑑やパッケージ年鑑などの完成度の高い作品のみアーカイブされたものを見ると最近のトレンドなどを分析できますし、デザイナーの名前も知ることができるので、
そこからその人を検索して、作品など見て回るなどするのも良いと思います。
目標になる人を見つけると途端に自分のなりたい方向性も見えてくるのでオススメです。
まとめ
今回は新人デザイナーの仕事として、アイデア出しについて解説しました。
アイデアだしは非常に重要な仕事です。そして、アイデア出しをする上でデザイン思考は非常に大切な要素です。
アイデア出しについてはこの他にも記事にしているのでぜひ参考にしてみてください。
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