美大を目指す上で、避けて通れない問題が就職についてです。
美術科やデザイン科で多少の違いはありますが、全体的には就職率は高くありません。
そもそも美大は何をやっているのか分からない人には全くピンとこないでしょう。
美術を学ぶってどういうこと?
具体的に美大にはどんなメリットがあるのか?
就職に不利なのは本当なの?
疑問は尽きないと思います。
今回はそこをテーマにお話ししようと思います。
美大進学のメリット
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美大進学は絵を描いたり、デザインをするのが好きで、それを何かしらの形で社会に還元する場を求める人にとってはとても大きなメリットがあります。
美術大学は普通の大学とはやはり違い、専門的な美術の教養を身につけます。
はっきり言って、絵の描き方などを一から教えるようなことはほぼないと言えます。
各々が目指したい方向性を明確にし、それをサポートするために制作環境を整えているのが美大なのです。
例えばデザイナーになりたいと考えて進学した人には、大学の設備でプリンターや最新のMac、Adobeのソフトが使える環境があります。
また、自前では行うのが難しいシルクスクリーンや大判印刷、レーザーカッターなどの設備も完備されています。
写真ならスタジオ、暗室、大判カメラの貸し出しもあり、テキスタイルなら染色用の巨大な鍋、機織り機なども揃っています。
建築やプロダクトデザインに必要な3Dソフトももちろん揃っています。
これらの機材は自前では到底揃えることができません。
どこかでレンタルを行う専門の業者に頼るのがざらです。
美術、デザインはものを作るための環境を作るだけでもとんでもなくお金と場所が必要なのです。
つまり、美大進学の一番のメリットは「作る」のに必要なありとあらゆる設備や空間がしっかりと備わっているというところにあるのです。
本当に作りたいもの、なりたいものがないなら美大はオススメしない
先ほどのメリットは作ることが明確な人にとってはとても大きなメリットです。
しかし、逆に言えば特に何か作りたいと考えておらず、とりあえず絵が上手いというだけで進学するにはそこまでの恩恵はないと思います。
まず美大の就職率は非常に悪いです。
一部の企業の宣伝部や制作会社などで美大卒のみを募集するところもありますが、そんなのは一握りでしかありません。
また、偏差値という値でみてしまえば美大はどこかしこも低い。
美大は学歴という枠の中ではとても弱い立場にいます。
世間は美術に対して関心もなければ理解も少ないです。
美術史や美学などを学び、絵が上手い学生。
その適性を生かせる場所は確かに社会にはありますが、大抵の企業や採用者には理解できません。
「趣味の延長」と捉える人も少なくないのです。
美大卒がメリットとなる職業もある
例えば美術館のキュレーターなどの職業であれば美術史や美学などに精通していなければ採用されることはありません。
そういう意味では美大や美術史学科に進学がマストな職業は存在します。
例えばデザイナーなどはわかりやすい例です。
企業では募集条件に美大、専門卒以外の採用を行わないところも存在します。
もちろん今時は美大や専門を卒業していないでデザイナーになる人も少なくありませんが、
新卒という枠組みで考えると、デザイナーになるのに一番メリットが大きいのは美大卒です。
僕は美大を卒業し、デザイナーとして採用され働いています。
実際の就職活動でもそのあたりのメリットを感じたのは事実です。
webデザインはいかにユーザーにストレスを与えずに情報を展開するかが重要で、美術的な素養よりはよりシステマチックで合理的な構成能力を求められます。
従来のデザイナーという概念から美術的技能はあまり必要とされません。
そういう意味では美大卒が必ずしも有利というわけではないと思います。
まとめ
今回は美大進学のメリットについて記事にしました。
美大の一番のメリットは制作環境の充実にあります。
もし、何かしら明確に作りたいものやなりたい職業(キュレーター、デザイナー、カメラマンなど)があるのであれば美大は大きな力となります。
一方でそういったものがあるわけではないのであれば美大はあまり良い選択肢ではないかもしれません。
在学中に自分が熱中するものを見つけることができる可能性は確かにあります。
しかし、美大の就職率は低く、また学費も高いです。
どこでもいいから就職するという考え方なら学歴を求めて、一般大学を受験するのが一番良い選択肢だと思います。
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