デザインが上手くなるコツは図形にあり!図形で魅せるデザイン手法について解説します。

三角、四角、円、長方形、正方形、図形には様々な種類があります。デザインの歴史は図形の歴史とも言えるでしょう。
人々は複雑な意図をより簡略化して伝える手法として図形を用いてきました。
例えば、家の家紋など古くから伝わるものから、漢字やアルファベットなども平たく言えば図形の組み合わせです。

現代においては企業のロゴ、標識図、ピクトグラム、サインデザイン、ありとあらゆるところで図形は駆使されています。
デザインの基礎は図形にあると言ってもいいでしょう。

 

20世紀に登場したロシアのデザイナー「エル・リシツキー」は数多くの革新的なデザインを生み出しました。
そんなエル・リシツキーは、「鑑賞するものに行動を促す 」というテーマを生涯持ち続けました。

 

プロパガンダ・ポスター「赤い楔(くさび)で白を打て」1919年

 

当時のロシアは識字率が低く、文字を読める人がとても少ない事情がありました。
だからこそ、エル・リシツキーは直感的に情報を伝える手法として図形を積極的に用いました。
その手法は革新的で、後世のデザイナーに多大な影響を与えたのです。

 

シンプルであるからこそ無限の可能性を図形は秘めています。
僕が学生だった頃、大学の教授に言われたことがあります。

 

「この世界にあるもので図形で表現できないものはない。そして図形は誰しもが扱うことができる」

 

この言葉に僕はとても感動したことをよく覚えています。
デザイナーは常に様々な表現を求められます。その基礎にあるものはシンプルな図形にこそあるのです。

今回はそんな図形を駆使したデザイン手法について解説していこうと思います!

 

 

 

 

 

デザインと図形

 

デザインは分かりやすく意図を伝える絵作りの設計です。
だからこそ、その表現手法に図形はうってつけの存在でした。
特にロゴデザインのような分野で、その有用性は一気に広まり、
現代では「フラット デザイン」と言ったデジタル上での表現手法と紐づいてよりその存在感を増しつつあります。

 

図形はどの世界でも共通する手法です。
精緻された図形の組み合わせは世界中のあらゆる人が見ても、統一されたクリアなイメージを生み出してくれるのです。

カラフルな図形を組み合わせて賑やかな印象にするのもいいし、モノクロにすればクールな印象に仕上がります。
エンボス加工、テクスチャなどを加えてあげるだけで、また違った見え方になります。

 

極め付けはDTPの発展でした。
デザイナーの作業環境は絵具などのアナログ素材からMacなどのコンピューター上に移り変わり、必然的に精度の高い図形のグラフィックが作られていくようになりました。
デザイン手法において、最も身近なものとなったのです。
それはファッション、インテリア、建築などを横断し、メンフィスなどのアーティスティックな活動に広がっていきました。

 

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そしてそれは、デザインの主戦場がwebに映りつつある今もなお、連綿と引き継がれているのです。

 

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図形を使ったデザイン表現

 

ここで具体的に図形を使ったデザインの事例を紹介していこうと思います。

 

円を使った表現

 

引用 大塚製薬 ボディメンテ https://www.otsuka.co.jp/bdm/cm/

 

図形単体で見ればただの円でしかありません。
しかし、他の要素と組み合わせることで、円以上の意味合いを持たせることができます。
こちらの広告ではドリンクに入った成分を円で抽象的に表現することで、体内にそれが入っていくということを直感的に表現しています。

 

図形をランダムで配置すると、なかなかまとまりが作りづらいのですが、こちらのデザインでは写真の上にある円を大中小のバランス感でレイアウトされています。
ランダムの中にルールを作ることでまとまりを作っているのです。

 


 

引用「青と白の陶展」 https://wyouko.exblog.jp/12308616/

 

同じ円をつかった手法でもテクスチャが入ることで、先ほどまでの印象とはまるで違うものに仕上がります。
こちらのデザインでは様々な青いテクスチャが入り込んでいます。
図形はその特性上、どうしても人工的な印象を作ってしまいます。それを緩和させる手法としてテクスチャはとても効果的です。

 


 

引用 コメ展 http://www.2121designsight.jp/program/kome/

 

図形は何も正確に描く必要はありません。
例えばこちらのポスターのように米俵やお椀、鏡餅など真上から見た時、どれも円が姿を表します。

 

このように、より広い視野で図形について紐解いていくと、このような手法に行き着くことができるのでしょう。
普段見慣れたものがどんな形をしているのかを見ることがもしかするとデザインの第一歩なのかもしれません。

 


 

引用 新村水産

 

図形で表現できないものありません。こちらは誰がどう見てもタコです。
それをシンプルな円の組み合わせで表現しています。

 

表現としては決して難しいことはしていません。
極論、円は誰でも描けます。しかし、それらを組み合わせて意味のある絵を作り上げるには、より深く観察する目とそれを単純な形状に落とし込むデフォルメの技術が必要です。
つまりそれはデザインという行為の根幹と言えるでしょう。

 

そういう意味でこちらのポスターにはそう言ったデザインの基礎、そして上達のヒントがとてつもなく詰まっていると思います。

 

 

 

 

 

アングル(三角、四角など)を使った表現

 

引用 電通SUMMER SCHOOL 2015  https://www.dentsu.co.jp/

 

「見る」という本来、視覚的には表現できないものを図形で表現することができます。
全体をモノクロで統一し、一番見せたい見るという行為そのものを目立つ色とアングル図形の組み合わせで表現しています。

 

三角形や四角形などを単体で使っても「見る」表現にはなり得ません。しかし、こちらのデザインのように目から画面の上部に向けて広がっていくようにレイアウトしてあげることで、
直感的にそれが表現できています。

 


 

引用 https://www.hatayurie.com/tagged/graphic

 

単純な色面分けでもそれを規則性を持って構成するとパターン化が成立します。
遠目から見たときに印象強い3色が目を引く、シンプルゆえの強さがデザインに表れています。
写真や特別なタイポグラフィを使わなくても、色だけで強さを出せるという好例です。

 


 

引用 渋谷ストリーム https://shibuyastream.jp/

 

図形をレイアウトとうまく組み合わせることもできます。
例えばこちらのデザインなら、写真のトリミングを菱形で統一し、部分的にストリームのカラーを使用して、気持ちのいいレイアウトで構成されています。
何かしら動きのあるレイアウトをしたいときに、写真などの要素も図形として組み込んでしまうというのはとても有効な手段です。

 

 

 

シンボルを使った表現

 

引用 スターバックス https://www.starbucks.co.jp/

 

シンボルとは例えばハートや矢印など、それ単体がすでに何かしらの意味合いをもつ図形をさします。
シンボルのメリットはそれ単体ですでに多くの人に共通した意味を共有できる点にあります。
しかし、このシンボルは使い方次第ではよくありがちの手法ということで安直な印象に仕上がってしまいます。

 

こちらのスターバックスの広告ではハートをキービジュアルとして起用していますが、ハートの形状が特殊なためありがちな印象を払拭しています。
ありがちなシンボルを使う時はこのように形状や色の工夫が必要になってきます。
また背景の柄もただの流線形ではなく、よく見るとキービジュアルのハートの稜線を組み合わせて作っています。
このようにハートの使い方も発想次第で全く違う見せ方ができるのです。

 


 

引用 あいちトリエンナーレ2019 http://www.art-museum.city.nagoya.jp/aichitriennale

 

こちらのポスターで使われてるのは矢印ですが、これはA(おそらく愛知のA)と矢印の形状をうまくコンビネーションで作ったビジュアルです。
このように単純に矢印では安直なデザインになってしまいがちなところ、ひと工夫加えることで特徴的なパターンデザインが成立しています。

 


 

引用 武蔵野美術大学オープンキャンパス2016 https://www.musabi.ac.jp/topics/20160512_03_03/

 

「りんご」というモチーフを図形でアイコン化し、様々なデフォルメで表現しています。
何を持ってりんごと人は見なすのかを検証して、様々な形態にチャレンジしてみる姿勢はとても実験的で新しい表現のヒントとなります。
先入観に囚われずにモチーフを観察することで、オリジナリティのあるグラフィックに昇華されています。

 

 

 

 

 

図形と造形力

 

図形を使って何かを表現するというのはデザイナーにとってはかなり基礎的なスキルとなります。
例えば美術大学の入試試験には図形のみを駆使して、季節や匂い、動物などを表現する試験があります。
入試試験でそう言った造形力を見られるというのは、それほどまでにデザインにおいて図形による造形力の重要だということです。

 

引用 美術大学入試試験例 http://shonabi.jp/gallery.de.html

 

引用 美術大学入試試験例 https://e-s-w.com/gallery_designcrafts/

 

図形というものは、誰にでも扱える表現です。
例えば、「アンパンマン」は本当に簡単な円の図形を組み合わせただけのキャラクターです。
作者である、やなせたかし氏はあえて子どもでも簡単に描けるようにとアンパンマンをデザインしたとインタビューで語られています。

 

デザインは特定の誰かにしかできない表現が必ずしも正解ではありません。
デザインは誰しもが当たり前に触れることができることにこそ価値があるのです。

 

しかし、いざ図形を使いこなすとなると、絵筆の繊細さとは全く違う別の能力を必要とされます。
それはレイアウトの構成、モチーフを図形に落とし込む力、配色、そう言ったデザインの根幹にあるものを鍛えていく必要があるのです。

造形力を鍛える方法について過去に記事にしています。よければ合わせて一読ください。

 

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まとめ

 

今回は図形とデザインについて解説しました。
図形はデザインにおいては基礎であり、同時に根幹にある表現です。

 

図形は誰しもが扱える表現です。
しかし、それを意味のある表現に落とし込むには観察力と造形力が必要となります。
そこはやはり日々の積み重ねが必要となってくるでしょう。

 

もし、自分に何か強みのある技術がなくて悩んでいるという方がいらしたら、まずは図形と向き合ってみることをお勧めします。
例えば日常にあるものを図形に落とし込んでみたり、その物体がどんな図形で構成されているかなどを観察してみる。
そうすると、今まで見えてこなかったもの見えてくるはずです。
それこそがデザインが上手くなる第一歩だと思います。

 

 

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