海外に比べ日本のデザインがダサいと言われる理由 ベネフィットの必要性

海外に比べ日本のデザインがダサいと言われる理由 ベネフィットの必要性

海外のデザインって妙にスッキリとしたデザインでどれもカッコいい印象がありますよね?

それに引き換え、日本のデザインは妙に情報過多でごちゃごちゃしています。

単純に比較してしまうものではありませんが、どうにも海外のデザインに比べダサいですよね。

そう感じてしまうのは否めないでしょう。

しかし、それは日本のデザインレベルが低くて稚拙というわけでは決してありません。

むしろ、かなり細かな部分までしっかりと考えられてつくられているのが日本のデザインなのです。

では、なぜ日本ではそういった情報過多なデザインになってしまうのか。

今回はそのことについてお話しようと思います。

大前提として、企業が自社のデザインに求めるものは何よりも分かりやすさというものがあります。

なぜなら、それが何の商品でどういった特徴があるのかがスピーディーに伝わらなければ売れないという事情があるからなのです。

分かりやすさとはその商品の特性を端的に伝えるということです。

例えば、雪見だいふくで考えてみるとします。

雪見だいふく引用画像
https://www.lotte.co.jp/products/brand/yukimi/lineup/

雪見だいふくの特性としては大きく2点あります。

1 もちもちした食感

2 アイスであること

この2点をまず消費者に一瞬で分からせなくてはいけません。

このデザインではそれを解決するために以下のことを行っています。

1 もちもちした食感をイメージできるように餅の形をしたアテンションで説明をしています。ここはひらがなで言っているのがさらに柔らかさを表現しているのに一役買っています。

2 タイトルの文字も丸っこい形と白をメインにすることで餅の柔らかさとアイスの白さを想起させています。

3 アイスであることと餅であることを分かりやすく伝えるために、断面が見えるように切り分けられた写真を使っています。こうすことで表面の柔らかな餅と中にあるアイスが消費者によく分かるようになっています。商品のシズルを目立つようにレイアウトしています。

ここにさらに消費者の購買意欲を掻き立てる工夫を行っています。

まずは全体の背景を店頭で目立つ強い赤で表現しています。
売り場で目立たなければ消費者は注目してくれません。

それに合わせて商品情報も赤にすることでそれなりの大きさで置いてあるにも関わらず、デザインの邪魔をしないよう配慮がされています。

背景が赤にすることで、シズル写真の白さがより際立ち、ひと目でそこに目が行くようデザインがなされています。シズルに集中することでより美味しそうに映ります。

ただ赤の背景のみではデザインとして味気ない部分があるので、前後感のある雪の表現と雪の積もった緩やかな曲線で絵としての面白さを引き出しています。

どうでしょうか?

これだけでもかなり合理的に分かりやすさと購買意欲をかきたてる工夫がこのデザインに詰め込まれているのが分かると思います。

逆に言えば、デザイナーはたった2つの伝えたいことを解決するために、いくつも工夫を凝らさなくてはいけないのです。

そして、日本ではこの情報伝達がしっかりとしたデザインが求められ、そして売れるのです。

こうした消費者がもとめる情報のことをベネフィットと呼びます。

だからこそ必然的にデザインは情報過多を起こしてしまい、デザインがダサいという感想を抱かれてしまうんです。

ベネフィットを無くすことで起きた失敗

では、ここで先程とは真逆の徹底した情報整理を行ったデザインを紹介しようと思います。

https://news.mynavi.jp/article/20130128-a117/

こちらは佐藤可士和さんがデザインを行ったセブンイレブンのコーヒーメーカーになります。

このコーヒーメーカーは日本語がまったく表記されておらず、英語とシンプルなマークのみでデザインが作り上げられています。

このようなプロダクトデザインのかっちりした形と日本語の有機的な形状はあまり相性がよくありません。どうしても違和感がでてきてしまいます。

だからこそ、その違和感を排除し、英語のかっちりした形状のみで構成していきたかったのでしょう。結果として、見た目のデザインはとてもスタイリッシュで素敵なものになっています。

しかし、このコーヒーメーカーに対して消費者からクレームが届くようになります。

その内容は端的に使い方が分からないというものでした。

これは消費者が求めるベネフィットが欠如しすぎていたということに他なりません。

結果としてこのコーヒーメーカーには日本語のテプラを貼られてしまい、ダサいデザインが誕生してしまいました。

佐藤可士和さんが求めていたデザインを逆行するという結末を迎えてしまったわけです。

ベネフィットについて

あらためて、ここでベネフィットについて振り返ろうと思います。

ベネフィットとはその商品を買うことで得ることができる効果、価値などの情報を意味します。

「ステーキを売るな、シズルを売れ!」というマーケティングの言葉があります。

これはつまり、ステーキそのものを売るのではなく、ステーキを買うことでどういった効果や価値が得られるのかを消費者に分からせてあげるという考え方です。

この言葉はアメリカのセールスマン エルマー・ホイラー氏が1937年に書いた本「ホイラーの公式」の中に登場するものです。

氏のこの言葉は1971年に日本語訳として伝わり、日本の広告業界へ深く浸透していきました。

そしてその思想は、今もなお僕たちの社会に根づいているのです。

まとめ

日本のデザインがダサいと言われてしまう理由として、ベネフィットを消費者が求めているが故に、限られた画面の中に情報をいれていく必要があるからです。

消費者はその商品から得られる価値(ベネフィット)を求めています。

日本のデザインはホイラー氏の「ステーキを売るな、シズルを売れ!」という思想を連綿と引き継いできたわけです。

アルファベットの幾何的な形はとてもかっこよく見えます。

一方で日本語はなんとも有機的でぽってりとした印象でどうにも野暮ったく見えてしまいます。

しかし、どれだけかっこよく見えたとしても、意味を理解できなければ消費者は購買しようとはなりません。

こうした理由から、日本のデザインはよりベネフィットを伝えるためのデザインの技術を高めてきたわけです。

結果として、その見た目は野暮ったく情報過多となり、ダサいという印象を抱かれます。

しかし、消費者にすぐさまベネフィットを伝えることができる日本のデザインは、本質的な意味でとてもレベルの高いものであると僕は思います。

ダサく見えるデザインも、そこにはとても合理性に富んだ知識と経験、技術が詰まっているのです。

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