先日、JR SKISKIの2020ヴィジュアルが公開されました。
撮影はこのブログでも一度取り上げた奥山由之さんです。
メインビジュアルは浜辺美波さんと岡田健史さんを雪の背景でドアップに撮るという今までのSKISKIの広告を踏襲した構成となっています。
しかし、今回の大きな違いはフォトグラファーの個性が如実に変化していることでしょう。
以前まで、SKISKIの写真を担当されていたのは鈴木心さんという方でした。

鈴木心さんの人物写真は実に美しく、確固とした技術があるのだとひと目で分かります。
実際、こういった人物をメインにすえたビジュアルの際はシンプルに当人の美しさを写真に落とし込む必要があります。
一方で今回の奥山さんが撮られたビジュアルはかなりノイズがはしり、ピンもまともに合っていません。

おそらく、こういった情緒的な描写を行うことで、JR SKISKIのターゲット層である10〜20代に共感を高めようという狙いがあったのでしょう。
実際、今の10〜20代の間では奥山由之さんのフィルムを生かした作風はとても評価を受けており、写ルンですなどの影響もあってかフィルムブームは根強く続いています。
添えられているコピーもどこか青春めいた言葉なのが良いと思います。
しかし、狙った意図に反して生み出されたビジュアルはどうにも稚拙に見えてしまう。
安っぽいCG合成の雪とピンがまったく合っていないノイズだらけの写真が非常にかみ合わせの悪い仕上がりになっています。
なにより、このJR SKISKIは駅で大きく貼り出される広告です。
当然、サイズはかなりのものになるでしょう。
ディスプレイ上ですらノイズが激しいにも関わらず、それがとても大きく出力されるとなれば現物はとても酷いものとなってしまうでしょう。
肝心な情緒的なフィルムの描写もとってつけたような雪のグラフィックが途端に雰囲気を壊しています。
そして、何より今までのSKISKIを踏襲してつくられたモデルをアップに撮影するという構図のせいでノイズとピンぼけばかりが目立ってしまうという状態になっています。
これでは情緒もなにもなく、ただ稚拙な印象にしかなりません。
フィルム写真は確かに魅力的な要素をたくさん備えています。オールドニューな仕上がりによって情緒的な懐かしさを見ている側に想起させることができます。
しかし、今回のSKISKIのビジュアルにはそれが何も感じられませんでした。
正直に言えば、奥山由之さんと今回の広告はとてもミスマッチな印象です。
何より意図とビジュアルの乖離が大きすぎて伝わってきません。それは広告としては致命的ではないでしょうか。
もちろん、様々な要因があってこの広告が出来上がったのは容易に想像ができます。
広告とはあくまでクライアントに主導権があります。
明らかにこちらの方が良いという提案があったとしてもクライアントがNOと言えばそれは日の出を見ることなくお蔵入りになるのです。
構図も色々検証したことでしょう。
何度も何度も撮影を行って試行錯誤を行ったはずです。
しかし、世に出てしまったのはこのビジュアルでした。
となれば結果はこのビジュアルでしか語れないのが広告の辛いところと言えます。
皆さんは今回のSKISKIの広告をどう見るでしょうか?
ぜひ、意見を聞いてみたいところです。
- 引用元
- 1 http://ps.suzukishin.jp/about/
- 2 https://twitter.com/okuyama_333