絵を描くのが苦手でもデザイナーになれる。「造形」について

デザイナーを目指す最初の入口にある壁として絵が描けないというものがあると思います。


実際、デザイナーと聞くと大抵の人は絵が上手いんだねと言われることでしょう。

しかし、意外なことに絵が描けないデザイナーはかなりの数いたりするのです。

 

確かに絵が上手いと得をする場面は多々あります。

美しい絵が描けるだけで、人の心を打つことができます。

それでも一流の現場で活躍しているデザイナーの中には絵がまったく描けない人がいます。

 

では、その人達は何が優れているのか。

様々な要素がありますが、ひとつ確実なことは

「造形する力」を身に着けているという点でしょう。

造形とはある意図を形として表すことを意味します。

実はこの形という要素がとても大切なのです。

今回はこの造形についてお話しようと思います。

 
 

デザイナーの行う造形とは、意図することを的確に伝えることです。

可愛い動物をイメージで伝えたいとなって、単純に写実的な絵を描くことがデザイナーの仕事ではありません。

このオーダーに対して造形力が高い人は様々な手法を考えていくことができます。

では具体的にどうのような手法を行っていくのか。

 

一番オーソドックスな回答は抽象化(デフォルメ)による造形です。

 

抽象化とはモチーフとなる対象から大事な部分を抜き出して、それ以外を省略していくことです。

これをデフォルメと呼んだりもします。

この手法によってより大事な部分が強調されていきます。

つまり、抽象化するポイントを明確に絞ることで、受け手に主題をはっきりと伝えることができるわけです。



わかりやすい例を紹介します。

 
※1
 

こちらは薄毛対策の広告です。

モチーフとなっているものは日本人なら誰でもわかる鉄腕アトムです。

鉄腕アトムの特徴的なM字の生え際にポイントを絞って抽象化し広告として落とし込まれています。

これが抽象化です。

 

記号化

 

記号化も有効な造形の手段です。

デザインにおける記号化とは言語や感情などを目に見える形として落とし込んだものを言います。

つまり見ただけで情報を連想する形です。

 

わかりやすい例としてはハートです。

あれを見ると大抵の人は愛情などを想像しますよね?

こういった、情報を即座に伝える造形を記号と言います。

 

記号は何よりも伝達性の高さが求められます。

つまり、多くの人と共感できるような形でなくてはいけないのです。

いわば全世界共通の言語のような存在です。

いま、僕たちが目にするようなトイレのマークや非常口のマークなどはそういった思想のもとつくられているのです。

 

 

タイポグラフィー

 

文字からも造形をつくっていくことができます。

文字自体が言ってしまえばひとつの共通認識をもった存在であり、それ自体に説得力があります。

 

こういった文字の造形をタイポグラフィーと言います。

このタイポグラフィーもなくてはならない造形スキルとなります。

 
※2
 

例えばこちらのタイポグラフィーはそれぞれネタの文字をモチーフに寿司を描いています。

まさしくタイポグラフィーの好例といえるでしょう。

 

 

幾何学

 

幾何学的に造形していくことは最もポピュラーな造形スキルです。

幾何学でつくられることによりシンプルで均整のとれたビジュアルをつくりだすことができます。

 
※3
 

完全に円のみつくられたこちらのロゴは実に安定感と力強さをその身に宿しています。

シンプル故に象徴性や安心感を生み出していきたい時にこういった幾何学をたよりにモチーフを造形していくことはまさしく正攻法の一つと言えるでしょう。

 

余談ですが、

この手法の歴史は古く、1910年代のロシア・アヴァンギャルドと呼ばれる美術様式から始まりました。

当時のロシアは識字率が低く、だからこそシンプルで分かりやすい幾何学デザインが流行したわけです。

 

造形力を身につけるには?

 

このように造形力は知識とコツさえ身に着けてしまえば、決して習得できないものではありません。

もちろん会得していくためには訓練が必要です。

 

僕自身、まだまだ学びの途中ではありますが、ひとつ誰でもできる訓練方法があります。

これは僕が美術予備校に通っていた時に学んだ手法です。

必要なものは定規やコンパス、鉛筆と紙だけです。

方眼紙などでもいいかもしれません。

やることはただひとつ。

 

ただ毎日、ひとつモチーフを想定し、円と曲線のみでそれを描いてみるというものです。

 

例えば猫をモチーフとしたとしましょう。

次に猫を観察します。

耳の形は尖っているのか丸いのか。目や鼻の形はどうか。

明確に守るのは図形のみで猫を描くということです。

最初は抽象化に時間がかかるかもしれません。

しかし、やっていくことで確実に造形センスが高まっていくことでしょう。

 

最後に描いたものを友人でも親でもネットでも構わないので、誰かに見てもらいましょう。

見てくれた人が猫と認識してくれれば完成です。

 

時間があればそれを清書としてIllustratorなどでつくってみてもいいかもしれません。
Illustratorの習熟にもつながるので一石二鳥です。

ぜひ、試してみてください。

 
 
 

 
    引用元
  • 1 https://adv.yomiuri.co.jp/adv/award/yaa/
  • 2 https://www.wwdjapan.com/articles/686044
  • 3 http://www.freelogovectors.net/wp-content/uploads/2012/03/tepco-logo.jpg
 
 
 
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