ローソンの新しいプライベートブランドのデザインは本当に失敗なのか?分かりやすさが正義とは限らない。

 

https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1397500_2504.html より引用

 

 

最近、ローソンのプライベートブランドのパッケージデザインがデザインオフィスnendoによって総リニューアルされました。
やはりコンビニは色々な人がほぼ毎日のように利用するだけあって、かなり話題となっています。
ですが、今回のパッケージデザインをネットなどで調べてみるとあまり評判が良くない様子でした。

 

 

 

 

好意的な意見も多少は見受けられましたが、大方はやはり不評といった感じでした。
こうした意見の中には
これこそデザインの敗北だ。佐藤可士和のコーヒーメーカーから進歩してない。
なんてものもありました。
でも本当にそうでしょうか?

 

デザインとはデザイナーの一存では決まりません。
まして、ローソンのような巨大企業で、リニューアルにおける費用も馬鹿になりません。
デザイナーや、企業のデザイン担当者だけでこれだけの規模のことは決まりません。
大きな企業ほどデザインを重視します。
デザインが自分たちの売り出していきたいイメージを作ることを承知しているからです。

 

だからこそ、このデザインに至る理由が必ずあるはずなのです。
今回は自分なりに今回のリニューアルデザインについて考えていきたいと思います。

 

 

 

まずは今回の問題点について

 

 

まずは今回の問題点について考えていきたいと思います。
僕自身、店舗で見てきて感じたことは
大きくは3つです。
一つずつ解説していきます。

 

 

1 色味やレイアウトなどをほぼ統一してしまうことで、ひと目でその商品が何なのかが分かりづらい。

 

まず全体を通してナチュラルな印象のベージュをベースカラーとして使い、文字もなるべくフォント然としてしっかりと組み、
可愛らしいイラストで商品詳細を担保するという構成になっています。

 

いい意味で潔く、かなり可愛らしいパッケージデザインです。
デザインにおいて統一感というものはとても重要です。
特に今回のようなたくさんあるプライベートブランドのデザインにおいては統一感がなければ同じシリーズだと認知してもらえません。
好例としては無印良品でしょう。

 

https://ryohin-keikaku.jp/csr/list/list_002.html より引用

 

一度でも行ったことある人はわかると思いますが、無印良品は全ての商品に統一感があります。
それは基本ベースのフォーマットを作り、それに準拠してデザインを展開していくからです。
だからこそ、店舗内も雰囲気を統一できて、ノイズの少ない空間を生み出しています。

 

一方で今回のローソンのデザインは統一感こそあるものの、ぱっと見の印象がほぼ変わりません。
ぱっと見で判断しずらいということは=ストレスでもあるわけです。
ストレスを与えられると人間は当然不快に思いますよね。
だからこそ、スーパーやコンビニで並ぶ商品たちはベネフィットを過剰に付与されて店頭に並ぶわけです。

 

このベネフィットについては詳しくは別記事で紹介しているのでよろしければぜひ読んでみてください。

 

海外に比べ日本のデザインがダサいと言われる理由 ベネフィットの必要性

 

 

2文字が小さく、写真も使わないためコミニケーションにラグが起こりやすい。

 

二つ目としてはデザインの構造上の問題です。
何よりまず文字があからさまに小さく、商品の写真もないためあまりに情報の伝達スピードが遅いという欠点があります。
もちろん、これは繊細で可愛らしい世界観を重視してのデザインではありますが、ただでさえぱっと見で違いが分かりにくい中で、
ここまで徹底して削ぎ落としていくと当然「分かりやすさ」が失われていきます。

 

削ぎ落としていくということはもちろん洗練さに繋がり、格段にデザインの見えの質は上がります。
しかし、既存の商品からこの流れはあまりに急な変化でもあり、ユーザーにとってはかなりのストレスが起こるのは
避けようがないかと思います。

 

 

3幅広い客層があるコンビニにおいて、場違い感が出てしまっている。棚周りで埋没している。 

 

今回のデザインはかなり可愛い世界観で統一されています。
例えば、このデザインがコンビニではなく、女性客メインのお店であればここまで騒がれることはありません。
しかし、コンビニはあまりに多様な年齢層が訪れます。

 

中には当然、視力が落ちて、商品を凝視しないとそれが何なのか分からないような人や、
そもそも可愛らしさにピンとこない人もいるわけです。
だからこそ、これまでのコンビニのデザインは「分かりやすさ」を最優先にしてきたわけです。

 

そしてこの「分かりやすさ」を最優先にするという文化は日本のデザインの根底に根付いています。
ローソンには当然プライベートブランド以外の商品が山ほど置かれています。
そのどれもが「分かりやすさ」を重視し、文字が大きく写真もばんばん使い、主張が実に強いわけです。
つまり、それだけの主張されたデザインが店中のあちこちにあったのでは今回のような洗練されたデザインは
良くも悪くも目立ち場違い感が出てしまうのです。

 

この分かりやすさというノイズが結果として、今回のデザインを
棚周りで埋没させてしまう原因ともなっています。

 

 

 

 

今回のデザインの意図は?

 

 

 

 

デザインには当然意図があります。
今回のデザインに置いて、一番重視されているのはどこか。
予想するに、やはり20代〜30代の女性がメインターゲットとなっているのはありそうです。
この層の女性が「可愛い!」と発してくれるのがやはり1番の広告になるわけです。

 

20〜30代の女性はちょうど働き盛りのOLなどが該当すると思います。
普通の会社員ならコンビニで軽く軽食買おうとすることは多々あると思います。
その層をローソンのユーザーとして引き込みたいと考えると、今回のデザインに挑戦するというのも分からない話ではありません。

 

僕は普段から仕事で色々な企業のデザインに携わることが多いのですが、やはりデザインのオーダーとして20代から30代の女性が好むデザインというものを
クライアントから求められることが多々あります。
それはもちろん、消費者としてその層がとてもお金を落としてくれるというのもありますが、
比較的SNSで商品を投稿してくれるということがかなり大きな要因となっています。

 

SNSの投稿は今の時代において、下手な広告を打つよりも効果的です。
可愛いと言って広めてくれることで、それが波紋のように広がっていき、同じ感性を持った人がそれを見て
購買に向かう流れは最も理想的なあり方です。

 

だからこそ、その層を引き込むということは競合他社との競争に勝つ道筋でもあるわけです。
今回のローソンの判断は間違いなく、そう言った意図があったことでしょう。
そうでなければ、「分かりやすさ」という重要な要素を度外視してでも、このようなデザインを作ろうとは
まずなりません。
このリニューアルデザインは実に勇気のいる判断だったのは言うまでもないでしょう。

 

 

皆が違和感を感じる理由

 

多くの人が様々な理由からこのリニューアルデザインに対して、違和感を感じています。
それはやはり、日本のデザインが根底で「分かりやすさ」を何より重要視してきたからと言えるでしょう。

 

これは日本のデザイナーにおいても同じことが言えて、大方のデザイナーは何よりユーザビリティを最優先するデザインを
日頃から作っています。
だからこそ、同業者ですら今回のリニューアルデザインに対して批判的な立場となっていることが実に多い印象です。
もちろん、それは間違いではありません。
分かりやすさと言う一つの方向性だけで考えれば、今回のデザインは間違いなく失敗と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

違和感はこれからの新しい価値観の芽生え

 

 

僕個人の意見としてはこの違和感はむしろ大切なことではないかと思います。
違和感があるということは何か心に引っかかる部分があるということです。
もし今回のデザインが既存の分かりやすさを重視したデザインだったとしたら
正直なところ誰も見向きもしないでしょう。

 

分かりやすいとはすなわち忘れやすいのです。

 

違和感もないからストレスもなく、すっと入ってくる。
それはとても大切です。
しかし、それは同時に記憶にすら残らないということです。
一方で違和感があるものに関して、人はものすごく敏感になります。
それは居心地の悪さによるストレスかもしれません。
ですが、その違和感によってデザインを確かに認識し、記憶するわけです。

 

違和感は見慣れないものに対して起こる現象です。
見慣れないということはつまり「新しい価値観」に他なりません。
だからこそ、この違和感という感覚は何事においても大切な要素となります。
新しさを失うと人は慣れという衰退を起こします。
確かに見慣れたものには安心感があります。
しかし、それに依存してしまうと新しい表現には決して出会えないのです。

 

だからこそ今回のデザインは一つの新しい価値観の芽生えなのではないかと思います。
新しいことに色々な批判は当然起こります。
例えば明治のthe chocolateは発売された当初、あまりに既存のチョコレートのデザインからかけ離れていて、
多少なりとも反発がありました。

 

 

https://mognavi.jp/news/shokurepo/75009/ より引用

 

しかし、今ではロングランヒットの素晴らしいデザインの一例として、その座に君臨しています。
このデザインを意識したデザインもその後、次々と世に羽ばたいていきました。
これは何より、違和感を大切に育てていった結果です。
だからこそ、ローソンさんにはこの新しい価値観をぜひ末長く育てていってほしいと思います。

 

 

 

 

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