たまにある質問で「デザイナーに将来性があるのか?」という問いを見かけます。
正直、業界の人でもこれはかなり不安を抱えている現状があると言っていいでしょう。
これに対する答えは実にシンプルです。
「デザイナーという職に関しては将来性は薄い。けれど、そのスキルは腐らない」
今回はこの将来性についてお話ししたいと思います。
グラフィック業界はどんどん先細りし、これからはwebの時代?
主にデザイナーという職業はグラフィックデザイナーやWebデザイナーなど多岐に渡るわけですが、
正直に言って業界はとても羽振りが良い訳ではありません。
ただでさえデザイナーの多くが活躍する広告業界は年々業績を落とし、ついには大手代理店の電通ですらついに上場して初めての赤字を抱えることになりました。
さらに今はコロナウイルスの影響もあり、その余波は計り知れないほどのダメージを与えています。
企業が予算削減をしていき、その影響をもっとも強く受けるのが広告です。
そういう意味でも、デザインという分野はここから先かなりの苦境に立たされるのは言うまでもありません。
一方で、web広告やwebデザインと言うようなデジタル分野は少しずつその領域を広げつつあります。
web広告が既存のマスメディアの予算を超えたニュースも記憶に新しいのではないでしょうか。
そう言う意味では将来性は確かにまだあると言えるでしょう。
しかし、デザイナーがそこに介在する余地が果たして今後あるのかは疑問が残ります。
ソフトウェアの発展により自動化やテンプレートの充実により、今は専門的な勉強をしてこないでもデザイナーになれてしまう時代です。
今後の未来はさらに容易にデザインパターンを生成でき、簡単に「それっぽい」ものが作れてしまうことでしょう。
そうなってきた時、いったいどれだけの人間がその良し悪しを判断できるでしょうか?
それっぽいもので十分と考える人は間違いなく多いです。
そうやって増えていくデザインっぽいものが未来のweb広告では求められるかもしれません。
もちろん、それはあくまで予想でしかありません。
実際のところwebサイトのデザインなどになってくると、まだまだ自動生成程度のものなどよりはるかにプロの仕上がりの方が上です。
買い叩きをするような企業は当然ありますが、結局、SEOの対策もない自動生成で作られたwebサイトなど金を払うだけ無駄な品物です。
同じようにUIやUXのようなユーザビリティーを意識した快適なデザインというものwebデザイナーなくしては成り立ちません。
人は何よりストレスを嫌います。
ストレスのない設計もまたデザイナーの仕事です。
そういう意味でもwebデザイナーの将来性についてはまだまだ期待できるし、これからという状況ではあると思います。
デザイナーは学び続ける職業
結局、デザイナーという職業は常に学び続けなければいけない職業です。
新しいテクノロジーが出てくれば、それを生かす学びが必要ですし、それに乗り遅れると途端に使い物にならないことになります。
技術の発展はとても早いです。
その上、他にもマーケティングや集客、と言った分野の学びも必要となっていきます。
そこまで学び続けたデザインですが、現役でいつまでデザイナーを続けられるのかと聞かれると難しいところがあります。
30代までは全然伸び盛りでいくらでも働いていけることでしょう。
しかし、学びを止めた途端に下からの追い上げに食い扶持を奪われてしまいます。
そして、年々全体のパイは減っているのが現状です。
デザイナーでの学びを別の道で生かす
業界の現状を無視したとしても
下からの追い上げについていけない。
ベースの収入が低い。
集中力の欠如によりデザイン作業を行いきれなくなる。
色々な理由からデザインという仕事から離れていく人が多いのは事実です。
では、デザインの仕事を離れて、別の仕事に言ってそのキャリアは無駄だったのかというと決してそうではありません。
大体の人はデザインの発注者にまわったり、企業の宣伝部などに転職していきます。
デザインの現場で培ってきた知識はとても稀有なものです。
デザインそのものの方向性を考えたり、進行管理をしたりなど、生かす現場はいくらでもあります。
まして、実際に自分が実制作を行ってきた発注者は現場への理解もあるのでとても重宝されます。
そういう意味でセカンドキャリアの設計は決して難しいものではありません。
まとめ
デザイナーは学びを続ける職業です。
デザインという視点だけでなく、それを手段としたマーケティングや宣伝などたくさんのことを学ぶ機会があります。
おそらくこれほど学び続ける仕事もそうそうないでしょう。
そういう意味でデザイナーは将来性には乏しいかもしれませんが、決して慄く必要がないほどにたくさんのスキルを身に付けることができます。