戸田ツトムというデザイナーについて

先日、グラフィックデザイナーの戸田ツトムさんがお亡くなりになられました。
戸田ツトムは日本におけるDTP(デスクトップパブリッシング)の先駆者で偉大なデザイナーのひとりです。

今回はこの戸田ツトムについてお話をしていこうと思います。

 

 

 

工作舎

 

戸田ツトムのキャリアは工作舎からスタートします。
工作舎とは日本のデザイン史においても特筆される存在の出版社です。

 

編集者の松岡正剛氏と才能にあふれるデザイナーたちが雑誌や書籍をまさに「遊び場」としてデザインを探求し、まさに日本のブックデザインの革命児と言える集団でした。
杉浦康平を筆頭に羽良多平吉、祖父江慎、そして戸田ツトムの姿もそこにはありました。

 

彼が入社後まもなくスタートしたプロジェクトがアートディレクター杉浦康平の傑作である全宇宙誌です。

 

引用 https://nostos.jp/archives/114901

 

全ページを宇宙空間に見立て、宇宙というカオスの中に杉浦康平のデザインが秩序をもたらす様には感動すら覚えます。
そして、そんな壮絶なデザインが生み出される現場で戸田ツトムは叩き上げられていくわけです。

 

余談ですが、この工作舎についてもっと知りたいという方には工作舎物語という本がおすすめです。
当時の工作舎の空気や証言集をまとめた一冊です。

 


工作舎物語 眠りたくなかった時代

 

興味がありましたらぜひ読んでみてください。

 

 

 

戸田ツトムと寺山修司

 

キャリアを積み、工作舎を独立した戸田ツトムに次の転機が訪れたのは間違いなく作家寺山修司との出会いでしょう。
寺山修司の独特な世界観に触れ、活発化していたアングラ演劇の世界に彼は飛び込んでいくのです。

 

彼は工作舎で身に付けたデザインセンスを余すことなく発揮していきます。
特に僕が気にいていっている作品が寺山修司の公演ポスター「観客席」です。

 

 

 

 

 

この観客席は「読む」ということに対しての批判が込められています。
それ故に、このポスターは文字が全て左右反転されているのです。

デザインとは基本的にいかに読みやすく人に伝えるかが大切です。
そういう意味でこのポスターがいかに反デザイン的で過激なのかが分かるのではないでしょうか。

このポスターの恐ろしいところは読めない反転された文字でさえも文字詰の緊張感、その完成度が非常に高いという点です。
読めないであろう文字にさえも一切妥協を許さない姿勢がそこには見て取れます。
この挑発的なまでに過激なデザインはまさしく戸田ツトムの代表作と言えるのではないでしょうか。

 

戸田ツトムのデザイン

 

戸田ツトムのデザインは白い空間とその中をコントロールされた文字とノイズ混じりの図像によって構成されています。
一見、感覚的に見えるこのデザインですが、ノイズの粒ですら細かくコントロールし尽くされています。
デザインの仕上がりはその人を映す鏡です。
この狂気的なまでにデザインを掌握し、妥協を許さない姿勢はまさしくエディトリアルサイボーグの異名にふさわしい姿ではないでしょうか。

 

そんなわけで今回は戸田ツトムさんについてお話しさせていただきました。
1970年代から活躍を続けて、今もなお輝きを見せる彼のデザインはさらに次の時代においても燦然と輝き続けることでしょう。

 


D‐zone―エディトリアルデザイン1975-1999

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